【コラム】人財創造の道

専務理事 シニアコンサルタント橋本欧二

専務理事 シニアコンサルタント橋本欧二

専務理事 シニアコンサルタント橋本欧二

1月9日 シニアの明るい未来を目指して

     シニアコンサルタント 小林隆哉

1月4日 経営者は何故、未来を切り開く人財戦略にアセスメントを用いたか? 

     専務理事 シニアコンサルタント橋本欧二


シニアの明るい未来を目指して

シニアコンサルタント

小林隆哉

~4ない問題~

 先日、「働かないおじさんの背景にある『4ない』問題」というセミナ*1を視聴しました。既におじいさんの域に達した私にとって、なんとも残念なタイトルだと思います。ちなみに「4ない」とは「働かない」「話さない」「帰らない」「変わらない」の4つの「ない」のことらしいです。(詳細URL*2)総務省の統計*3によると、2021年の労働力人口は、45歳以上が55%を占めています。つまり、日本の職場は、半分以上が45歳以上になっているということです。バブル・団塊ジュニアの世代*4が間もなくおじさん(以下シニア)になることにより、シニアの比率がますます拡大します。

~エイジズムのブーメラン効果~

エイジズム*5という言葉があります。これは年齢に基づく偏見・差別のことです。ある研究によると、若い時に「年寄りっていやだなあ」と思うとそれが内面化していき、エイジズムが本人に定着するようです。私が参加するキャリアコンサルタントのグループワークで、他社の30代や40代の方々から「ぶっちゃけ年上の部下がいて大変です」という悩みが良くあります。「年上の部下への接し方がわからない」という悩みのようです。しかし将来、立場が逆転し自分が「年上の部下」になる可能性もあります。「天に唾を吐くと、それはいずれあなたに降り注ぐ」ということに気づいていただきたいのですが、私のカウンセリングレベルがまだその域に達していません。いずれにしても、これからのマネージャは多様な社員をマネージできることが重要なスキルになってきます。

~キャリアの終わり~

ある調査*6によると、会社での出世意欲の割合が45歳前後で逆転し、その年齢に達すると、キャリアの終わりを意識しはじめる方が多数派になっていくようです。「会社で将来の見通しがついた。あとは若い人に任せて余生を過ごそう」と、成長し終わったと思っている方がシニア世代にはいるのかもしれません。しかし現役人口が減り続ける日本で、シニアの豊かな能力と深い経験が死滅するとしたら、これは壮大な無駄です。今まで日本経済を支えてくれたシニアのモチベーションを高く保ち続けていく必要があります。

~シニアがやりがいを持って働くために~

ピグマリオン効果*7という実験では、高い期待をされた人は伸びるのですが、低い期待された人は自己肯定感が低下しモチベーションが下がる、ことが実証されています。そして年齢とともに衰える流動性知能(新しいものを学習したり覚えたりする力)に対して、結晶性知能(一般的知識や判断力、理解力)*8は、年をとっても衰えないとことがわかっています(ジェントロジー*9)。またジョブ・クラフティング(以下JC)の観点では、職場の業務を棚卸して、シニアに適切なポジションを創造する、あるいはシニア本人の仕事を上司と棚卸して新たな職務を追加(拡大的JC)する、また本人の状況に応じて、他のメンバーと負荷を分散する(縮小的JC)、などの工夫によってシニアのやる気が増すことがわかっています*10。シニア向けキャリア研修に「年下の上司から教えられることに適応する」ことを意識した教育、逆に若手・中堅社員のリーダーシップ研修に「年上の部下を教えるスキル」研修が必要になっています。これからのリーダーは「子供(年下)に教える」ことと「大人(年上)に教える」ことの違いを理解しながらリーダーシップを発揮することが求められているのです。シニアの特性を理解し、シニア本人と上司の関係に着目しつつ、研修体系そして組織文化全般の見直しが喫緊の課題となっています。

~アセスメントの出番~

そうは言っても年上の部下を前にすると、年下の上司は部下へのフィードバックがつらい場合もあります。特にネガティブフィードバックの場合はなおさらですよね。

「人に向き合わず、人のする仕事における課題に向き合うコツ」の一つに「ホワイトボードや紙資料など」一緒に向き合う対象を別に用意する方法があります。「同じ方向を向く」ということを物理的に設定することで、単刀直入にフィードバックしても、相手の感情を悪化させる要因を減らすことができます。さあ、そんな時こそ「アセスメント」の出番です。このようなシニア(年上部下)の現在地をアセスメント*11によって測定してはいかがでしょうか?そのアセスメント結果に年下上司と年上部下が向き合いながら、1ON1の際に、同じ方向を向いて対話することが容易になります。シニアの明るい未来の実現に、「アセスメント」を活用してみてはいかがでしょうか?

 

*1早期退職時代のサバイバル術 小林祐児 幻冬舎新書

*2おじさんの4ない問題

https://president.jp/articles/-/57771

*3総務省統計局労働力調査

https://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.html

*4大企業における「2020年問題」~バブル・団塊ジュニア世代の高齢化による人件費負担増~三菱UFJ リサーチ&コンサルティング

https://www.murc.jp/report/economy/archives/analysis_past/research_past/report_140317/

*5「幸福な老い」と世代間関係  原田 謙   勁草書房

https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2021/05/pdf/094-096.pdf

*6パーソル研究所 2017 働く1万人の成長実態調査

https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/pgstop/2017/

*7育て上手のマネージャの指導方法 北大 松尾睦 日本労働研究雑誌

https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2013/10/pdf/040-053.pdf 

*8中高年の知能の加齢変化 西田裕紀子 国立長寿医療研究センタ

http://www.rouninken.jp/member/pdf/21_pdf/vol.21_07-21-01.pdf

*9 シニア人材マネジメントの教科書 崎山みゆき 日本経済新聞出版社

*10 高齢雇用者のジョブ・クラフティングの規定要因とその影響 岸田 日本労働研究雑誌

https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2019/special/pdf/065-075.pdf

 

*11 NET*ASK/人間力診断

https://www.nextet.net/product/netask 

https://www.nextet.net/product/ningenryoku

 


経営者は、何故、未来を切り拓く人財戦略に

アセスメントを用いたのか?    

専務理事 シニアコンサルタント
 
 橋本欧二

後継者選抜にアセスメントを導入されたある社長様の生の声です。

 

「以前、私は主に実績や経験を重視し、個人の素質や潜在能力を見過ごしていたかもしれません。しかし、なかなか、自分の感覚にしっくりくる後継者選抜が出来ずに悩んでいた頃、経験だけではなく、個々のリーダーシップ能力や適性を正確に評価する必要性が重要なのではないかと思うようになってゆきました。

 

そんな中、アセスメントを導入することで、従業員のポテンシャルや強みを客観的に把握し、適切な後継者を選ぶ手助けになることに気が付きました。また、アセスメントを通じて、候補者の短所や成長の機会も発見できることを知り、それを育成のための機会と捉えることができるようになりました。

 

結果として、アセスメントを活用することで、後継者選抜プロセスがより客観的かつ効果的、効率的になり、組織の長期的な成長に貢献できると確信しました。これからは、アセスメントの重要性を過小評価せず、人財評価や後継者選抜に積極的に活用していくつもりです。」

 

如何でしたでしょうか?

 

未来志向の人財戦略は、組織が迅速な変化と不確実性のある環境に対応するために不可欠です。この戦略は、将来の成功に向けて組織が人財を選定し、育成する手法や原則を指します。特に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や様々な分野における競争の激化により、組織はこれまで以上に柔軟で適応力のある人財が求められています。

 

未来志向の人財戦略の要諦は、まず組織が将来の展望やビジョンを明確にし、それに基づいて必要な人財像を描くことから始まります。これにより、組織は変化する市場や技術の中でどのようなリーダーシップやコンピテンシーが求められるかを理解しやすくなります。また、適切なコンピテンシー(クリティカルシンキング、コミュニケーションスキル、そしてDX)への理解が必須です。

 

この戦略は人財の獲得だけでなく、既存の従業員のコンピテンシーや能力の向上、成長機会の提供にも焦点を当てます。トレーニングや様々なセッションを通じて、従業員が将来のニーズに適応できるようにすることが求められます。未来志向の人財戦略は、単なる採用プロセスを超えて、組織全体の文化や価値観を育み、「やる気」を定着させ、未来のリーダーたちを育て上げる手段となります。

 

将来を担うべき幹部人財のノミネートは企業の成長に欠かせない。指導力を発揮し、適切なビジョンを具現化することで、変革と成長の機会を確保する。そうしたコンピテンシーと価値観を備えた人財を選出し、競争力を維持し、変化に対応できる体制が築く必要がある。そんな事は、お会いする全ての社長様は分かっています。

 

昨今、私が社長様とのお打ち合わせで、これまで社長様や自社を支えてきた幹部人財(役員、事業部長、部長)が老齢化しており、これまで自社の成長をリードしてきた社長様であっても、これには本当に困っておられます。

 

そうした老齢化に対処するためには、ベテラン層の知恵を活かしつつ、後続世代の登用や育成に注力が必要です。知識や経験の喪失、組織の安定性への不安、リーダーシップの引き継ぎ、新しい人財の必要性など、これらの懸念事項に的確に対処することが求められます。

 

冒頭の社長様が言われていたように、アセスメントは単なる選定手段を超え、未来志向のリーダーシップ育成や組織の成長を促進する重要なツールとなっています。コンピテンシーや資格だけでなく、個々のポテンシャルや適性を的確に評価し、最適な配置や育成プランを提案してくれるのです。

 

本稿では、アセスメントが未来志向の人財戦略を形成し、組織にイノベーションをもたらす具体的な事例や最新のトレンドを通じて、アセスメントの可能性に迫ります。未来志向の人財戦略においてアセスメントが果たす役割をより深く理解し、組織の持続的な成長と競争力の向上に向けて、アセスメントの力を最大限に引き出していくことが不可欠です。組織は変化する環境に適応し、未来において成功を収めるために、アセスメントを継続的かつ戦略的に活用することが肝要です。

 

未来を切り拓くために、アセスメントの力を最大限に活用し、組織の成長に新たな一歩を踏み出しましょう。

以上